痛みは本物だ

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アイドルにガチ恋してしまう構造と、ガチ恋しないための自衛

アイドルにガチ恋してしまう構造と、ガチ恋しないための自衛

 

 

アイドルに限ったことではなく、インターネットなどで一方的な(バーチャルな)関係になる全てが対象である。

どこかに書いた気もするが、一方的な状態では結晶作用がとてつもなく素早く強く起きる。というのも、現実の人間関係では起きない接触回数を持つことが出来る上に、自らの見たい部分のみを見続けることができるので、あらかじめあった結晶にも作用するなどの相乗作用もある。

 

構造自体は至ってシンプルだが、これ自体の危険性は、結晶を解けないことにある。

というのも、現実の人間関係では、何か接触が先にあって、関係性も規定されながら時間が流れていくので、それに付随した現実の事象によって、自らの結晶を確かめ続ける過程を踏むことが出来る。(無論、接点のない現実の人間に恋するパターンもあるので、一概には言えないのだが…。)

一方的な関係では、現実の事象を集めることもできない上に、“発信者が恣意的に自らの見せ方をコントロールできる”ので、所謂「匂わせ」みたいなことを無限に行い続ければ、ガチ恋勢の結晶作用はますます強まっていくばかりだろう。

 

ガチ恋勢の結晶作用の自衛は私が思うに3つある。

1つ目、忙しくなること。暇な状態だと、接触回数を自ら無闇に増やしてしまうので、それを避ける。

2つ目、現実の周りの人間関係をより深く大きくすること。あらゆるコミュニティを形成して、それぞれの関係性にそれぞれの役割を分散させて、依存先を手広くすることで、そもそものガチ恋を和らげる。

3つ目、結晶作用に関して“ボールが帰ってこないこと”を徹底して確認する。自らが結晶化させた想像を基に相手を見ることを繰り返し、また結晶作用を起こしている流れの中で、“相手の魅力それ自体が自らの労力によって行われているという負担”を確認する。その過大評価を自覚する。(恋愛論第二十二章熱中について参照。)